From:桜井啓太
恵比寿の自宅より
千葉県野田市で虐待死がありました。
僕がよく見るとくダネ!では連日やっているんですが、割と話題になっているようです。
https://www.fnn.jp/posts/00411160CX
批判されているのは教育委員会の対応です。
子どもがおそらく必死に助けを求めて書いたであろう「アンケート」。いじめもそうですが、「自分が被害者だ」と訴え出ることは、特に子どもにはとてもむずかしいことです。
それなのに、せっかく虐待を告白して提出したアンケートに対し、有効な対策がとられなかったどころか、虐待の当事者である父親にそのアンケートが渡ってしまった。
なぜ渡したのか…。教育委員会の担当者は「恫喝された」とのことでしたが、一人で抱えず、市役所として問題に立ち向かってほしかったです。
その後、何度かアンケートは実施されました。しかし加害者に告発がバレるとなっては、誰も正直に被害を訴えようとはしませんね。その後のアンケートは、この子はすべて白紙だったようです。
まあ教育委員会の対応そのものはこれから処分なり対策なりがとられることを期待します。
僕が指摘したいのは、「子どもを裏切る大人」がたくさんいるということ。大人側のメンツや都合で、子どもの「信じる気持ち」を、適当に扱うケースが多いということです。
普通の家庭でさえ、それは起こっています。
例えばよく生徒から相談されるのが、「同じクラスの○○くんは成績がいいのに…と言われつつ、お小遣いや遊びに行くことに関しては『うちはうち、よそはよそ』って言う」ということです。
これはダブルスタンダードといいます。子どもからみて、大人である親の「軸がぶれている」のです。
子どもには論理的な矛盾はわからないだろうと考える大人はたくさんいます。確かに子どもは論理的には理解できないのかもしれませんが、「感覚でなんとなく」感じ取るものです。「この大人は信頼できるのか、できないのか」ということを。
そういう裏切りを積み重ねていくと、子どもはその大人の言うことをまったく聞かなくなります。もはや話の内容は関係ありません。
子どもだって、勉強したほうがいいだろうことや、乱れなく生活したほうがいいことはちゃんと分かっています。ですが、信頼していない人から言われると途端にやる気がなくなります。
「親がやれっていうからやらない」というのは、よく聞く言葉です。
野田の県で「教育委員会はひどい」と思うのはいいのですが、その反省を私たち自身が子供と触れ合うときに活かしていきたいですね。