From:桜井啓太
五反田、目黒川のそばから
僕は昼間、五反田で働いています。
昼休みになると同僚とランチに出かけるのですが、とてもいい店を発見しました。
小樽ザンギ(からあげ)など鳥が名物のお店です。で、そのザンギがデカイのなんの。4つついているんですが、一口じゃとても食べられない大きさ。何度も何度もかぶりついてようやく1つ食べ終わる。
そんなボリューム満点のザンギなのです。
一緒に行く同僚は、からあげが大好物の大食漢。体も大きくて、他の人から余ったものをもらって食べているくらいの人。
その人が、この定食を食べ終わると「お腹いっぱい」と言うくらい、すごい量の定食なのです。
ボリュームが多すぎるからか、「ザンギを3個に減らす代わりにドリンクが付く」というバージョンもあるくらいなんです。女性はこっちのほうが嬉しいのかもしれません。
そんな良いお店ですから、同僚と「今日のご飯何にする?」と話すときに必ず候補に上がります。中には
「今日は一緒に食べる人がいないけど、一人でその店に行く」
「いい店って聞いたから行ってみたい」
などと、仲間内で話題になっています。
事実、12:00過ぎてすぐに行かないともう満席です。
さて、ここまでボリュームばかりを強調してきました。では味はどうかというと…
まあ、普通です。
そこまで「おいしい!」という感じではありません。肉が大きいからか、中心の方は割とパサパサしています。おろしソースやタルタルソースをつけたらちょうどいいくらい。でも、ザンギ単体でいうと「まあまあ」といった評価しか出てきません。
しかし、それでも昼になると行きたくなるお店です。あのボリュームというインパクトだけで、どうしても通ってしまいます。
このように「とにかく記憶に残る」というだけで、マーケティング的には成功と言えるでしょう。
先日のメルマガセミナーでも話しましたが、お客さんは「ここで買い物をしたことを覚えていない」のです。
たいていのお店は、普通の品質のものを出しています。というか、どこでも出てくる品質だから、それを「普通」というのです。
品質を高めようと思っても限界が来ます。中小飲食店だと、開発費や宣伝費はかけられません。そんな制約の中で生き残ろうと思うのであれば、「一芸に秀でてひたすらインパクトを残す」戦術はとても有効と言えます。
今後もそのお店は通うでしょうし、その分他のお店には行かなくなります。だって、もうそのお店のこと覚えちゃったんですもん。
五反田には他にもいっぱいおいしいお店はあると思います。ですが、全部覚えることなんてできません…。
あなたも、あなたの得意分野でめちゃでかザンギ定食を目指してみてはいかがでしょうか?