From:桜井啓太
「殺害された市議の妻」
先日木更津市議選で当選された方の肩書です。字面としてかなり強烈です。
事件は今年3月。再選へ向けて準備していた旦那さんが、娘婿によって殺されてしまいました。
奥さんがその遺志を継いで出馬したというわけです。
政治の世界では、たまにですが「旦那さんの代わりに奥さんが出馬」ということがあるような気がします。
結果的に今回も当選されたわけですが、有権者はなぜこの人に投票したのでしょうか?
1つは単に話題になったからだと思います。
そしてもう1つは、「逆境にいる人を応援したい」という人間の根源的な欲求です。
ピンチの人は、とても有利なのです。
アフリカの貧しい子ども
生まれつきの病気で高額な手術が必要な子ども
犯罪被害者
などなど。
これらの人たちは、「そのカテゴリーにいる」というだけで応援されてしまいます。
特に今回のように選挙の場合、その人の境遇だけでなく政治的な能力も大切なはずです。どんな思想を持っているかとか、実現したい政策も気にする必要があります。
でもそんな中身は二の次として、「逆境にいる人だから応援したい」というコンセプトで票を集めることもできるというわけですね。
このように、コンセプトはとても大切です。
票をもらえるかどうか、ビジネスなら商品が売れるかどうかに、実は「中身の良さ」はあまり関係ありません。
もちろん品質が悪ければ次は買ってもらえないでしょう。長期的に売れ続けるためには当然中身は重要です。ですが、1回売れるかどうかだけなら、コンセプトだけでどうにかなるのです。
なぜなら、消費者は買うまで中身がわからないからですね。口コミがあればいいのですが、今回の市議選やとてもマニアックな商品のような「一品物」だとなかなかそうもいきません。
昨日資格学校のLECから来たメルマガでも、「セミナーはタイトルで売れる」と言っていました。内容は関係ないんだそうです。僕はこれに同意します。
逆に中身がどれだけ素晴らしくても、コンセプトが悪ければ最初の1回すら売れません。
たとえあなたがどれだけ必死に働いて、素晴らしい商品サービスを提供しているとしても、コンセプトが悪ければ日の目をみないのです。
僕はマーケターなので、そういうコンセプトを磨く仕事をしています。「売れるコンセプト」これを永遠に探し続けるんだろうなあ…
PS
もちろん、政治的な能力もあると期待されて当選した可能性もあります。今日の記事はそれを否定するものではないので、あしからず。