やっぱり生きようと思ったんです

From:桜井啓太
自宅より

「やっぱり生きようと思ったんです」

これは、おととい僕の生徒に言われた言葉です。

昔学習塾を経営していたということもあって、今でも個人的に生徒を受け持っています。

その中の一人に、20歳の浪人生がいます。

彼は高校時代にひきこもった経験がある。それに加えて、無事大学に入れたと思ったら入学後3日で不登校になってしまった経験もある。

いずれも周囲と関わっていくのに自信がないという理由でした。高校のときはいじめにもあっていたようです。

確かに話してみると弱気な子、という印象を受けます。僕と出会った当初は、受験にしても人生にしてもいろいろと明るい未来を話してみても、

「でも僕には無理です」

の一点張り。

できない、受け入れられないという体験をしてきているから、すっかり無力さばかりを感じるようになっていたのでしょう。

そんな彼には、まずできることから指示をしました。

毎日報告をしてもらい、不安なことがあれば吐き出してもらって、僕はそれを受け入れてきました。

たまに予定通り勉強できない日があっても、それがいかに「普通のこと」かを話してきました。

そうしているうちに、ほんの少しずつ良い結果が出はじめるようになりました。

最初はセンター試験の過去問をやってみても日本史が18点だったのに、3ヶ月もすると60点をとれるようになりました。

僕は、これがいかに順調で、そしてすごいことかを語ってきました。

それで何が一番変わったか…

たまに都合があって勉強できない日があると、彼は「イライラ」するようになったんです。

やろうとして、できない自分に納得できない―

いつのまにか、動機が内発的になってきたんです。

人からやれと言われるからでもない。

周りの大人に気に入られるためだからでもない。

自分と向き合った上で、自分自身の願いとして、達成したいと思うようになってきました。

そんな折、一昨日。いつものようにLINEで話をしていると、

「生まれてきたからには何か作品みたいなものを残したいんです。だから自分はやっぱり生きようと今は思っています」

と、彼は言いました。

生まれてきたことを受け入れて、向き合って、何か目指すもののために生きていく。

今、彼の心はそんな思いとともに、晴れやかな気持ちなんだろうなと僕は想像しています。

PS
とはいえまだまだ受験は終わっていません。

でもきっと彼の物語はビリギャル並の大逆転劇になるでしょう。

PS2
僕はLINEを使ってコーチング重視の学習指導もやっています。

教育って、割と子どもと先生の出会いですべてが変わると思うんですよ。それが地理的要因で縛られなくなったのはテクノロジーの功績です。

お近くに困っている子どもさんがいたら僕に相談してください。