From:桜井啓太
横浜のルノアールより
電車の中で知らない人に声をかけられるって、あまりないですよね。
朝、五反田に行こうと京急に乗っていました。
今はお盆シーズン。会社が休みの人も多く、車内はとても空いていました。運良く席に座ることができたんです。
朝の日課は単語カード。毎日カードの束を2つ選んで家を出ます。その単語カードをパラパラとめくりつつ、そろそろ乗換駅の品川に近づいてきた頃…
「カマキリついてますよ」
隣の人に肩を叩かれ言われたのは、その一言でした。
まあ、ちょっと虫がついているくらいだったら、わざわざ伝えるようなことはしません。でもそこにいたのは、そこそこの大きさのカマキリ。バッグの下の方にしがみつくようにくっついていました。
「カマキリかよ…」
正直に言うと、そう思ってしまいました。
どこからくっついていたのかは分かりません。別に林の中みたいな場所を通ったりはしていないのです。
唯一、家を出てすぐのところに頭の上まで木が茂っている裏道みたいなところはあります。そこで、頭上の木からぽとりと落ちてきたのでしょうか。
何はともあれ、バッグにカマキリがついているのは気分のいいものではありません。何か対処をしなくてはいけないのです。
しかし今は走行中の電車内。つまんで放り投げてみたところで、車内がパニックになってもおかしくはないですよね。
「降りたらとろう…」
そう考えて、じっと耐えることにしました。
目を離すとどこに行ってしまうかわかりません。そこから5分。電車が品川に着くまで、僕はカマキリとずっと見つめ合っていました。
こころなしか、向かいの席に座っている女性が心配そうにこちらを見つめているように感じました。「さっさと処理しろよ」そう言わんばかりです。
いや、まあ電車が止まるまでは待ってくださいよ…
その後カマキリが暴れることなく無事?品川に着きました。
僕が乗っていた車両は品川止まりだったので、周りの人が降りるのを待って僕は最後に降りました。
電車を出て、そっと駅のホームの脇に優しく落としてあげたつもりです。まあ触ろうとした瞬間、カマキリが突然暴れだしたのにはびっくりしました。振動を感じ取ったのでしょうか…
見つめ合う間不思議な感情も芽生えてきて、写真でも撮ってやろうかと思いました。でもそこは、朝のテンション低めの通勤電車内。パシャパシャとインスタ映えする写真を撮ろうと思うほど、僕はインスタ映えは目指しておりません…
こういうときの対処法って他にありますかね?正直分からない。
誰か教えて下さい…